平成30年8月1日に考えたこと

ニッカオフィスのウチヤマケンイチです。

被写体がなければ写真は撮れない。
だから、まっさらなキャンバスに思うように描ける絵画なんかに比べると、写真というのは自由度が低い表現だと思っていました。

でも同じ場所で繰り返し写真を撮ってるうちに、光の加減や角度、距離の違いなんかでまるで別の写真になることに気がつく。
写真が絵を描くのと同じように自由なんだと、今更になって気づくのです。

学生の頃、建築家の先生にこんなことを質問したことがありました。
「建築みたいな大きいなモノだと、細かなところまではデザインできないですよね」

当時の僕は家電や香水のボトルといった工業デザインに憧れていて、それに比べると建築というのはなんて大雑把なんだろうと感じていました。
大きな箱のかたまりを並べてどんな空間が良いかを考えるよりも、コンマ何ミリを意識することこそが正しいデザインだと思っていたんです。

同じことはサンプリングが主体のDJと、自由に演奏するギタリストなんかにも感じていた。
とにかく、全てを自ら生み出す創作こそが正義だった。

それが段々と、すべての創作には制約も可能性もあって、結局は考え方や視点こそ大事なんだと気づいた。
そんなふうに、後になってあの時の考えは随分と浅はかだったと思うことが歳を重ねるとよくあります。

今の自分がどんなに正しいと思うことも絶対じゃない。常識が変わっていくって、おもしろいなぁ。

ウチヤマ ケンイチ