何を「変えない」のか。

ニッカオフィスのウチヤマケンイチです。

ずっと変わらないことは、すごいことだと言われます。
例えば、ロングセラーの定番商品とか、受け継がれる伝統の味とか。長寿番組もそう。
いわゆる、ポジティブな意味の「変わらない」。

一方で、同じ「変わらない」であっても、ネガティブな場合がある。
行政や大組織の古い体質とか。みな慣れ合いや既得権の中で変わらない場合。
「いつまでたっても、変わらないねぇ。」と呆れる。
いわゆる、ネガティブな意味の「変わらない」。

同じ「変わらない」なのに、なぜこうも違うのか。
一見すると、こう考えてしまっていました。

きっと、良いものをずっと変えないことは、ポジティブ。
そして、悪いものをずっと変えないことは、ネガティブ。

でも、よくよく考えてみるとそうではなさそう。
実は言葉では同じ「変わらない」だけれど、この二つは真逆のことを言っているんじゃないかと。
ポジティブな「変わらない」は、逆に、実は常に変わり続けていることなんじゃないかって。

「変わらないために、変わる必要がある。」

世の中はどんどん変化してます。
だから周りから評価や、相対的な価値を変えないためには自分を変える必要がある。
一方で、周りからの評価だったり客観的な視点は無視して、ただ単に自分が変わらないことは、ただの怠慢。
それこそ、時代遅れになったり、周りから評価されなくなったりと、実は「変わってしまう」ことだと思うのです。

そういえば、ロングセラー商品の多くはその味やパッケージのマイナーチェンジを繰り返してます。
一見するとずっと一緒だなと思われているけれど、そのもの自身は変わってる。
変わらないのは、周りからの印象や、評価、そして価値。

人には、慣れという能力があります。
自分の好きな物や慣れ親しんだ物が変わることは、人は嫌がる。
でも実は、そんなことを口では言いながら、多くの人はすぐに慣れてしまうのです。
だから必要な変化を繰り返しても、慣れによって変化していないように錯覚する。

先日、NHKのプロフェッショナルを見ていた時の話。
番組の特徴である黒背景に白い文字だけ映し出されるシーン。
キーとなるシーンなので、番組を見たことがある人はよく知っていると思います。

その文字が一部が白ではなく緑色だったんです。僕が知る限りでは初めてのことでした。
最近は番組の構成も少し変わってきていたし、番組が変化をしようとしているのかな、なんて思ってました。

でも実は昔のプロフェッショナルのDVDを見たら、いまと全然違う構成で驚きました。
そうか。常に変わり続けているのに、僕がすぐに慣れてしまっていただけなんだと。
そして、そうやって変化しているからこそ、僕にとっての価値がずっと変わらなかったんだと。

昔のプロフェッショナルには、茂木健一郎さんと住吉美紀さんが出ていました。
確かにそうだった。これだけ大きな違いがあるのに僕はずっと変わってないと思ってた。

多くの物は少しづつ変わっている。
けれど僕らはすぐにそれに慣れるから、変わって行くことに気づかない。

自分は、何を変えたくないのか。何は変えても構わないのか。
言葉や表面的なことだけにとらわれないように、きちんと考えなければと思うのでした。

ウチヤマケンイチ
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