デザインに、理由。

ニッカオフィスのウチヤマケンイチです。

先日のオリンピックシンボルの話。
盗作かどうかの議論とは別に、こんな意見がよく見られました。

「そもそもシンボルとして魅力的じゃないよね。」
「非難が広がっても擁護する人がいなかったのは、そもそもシンボルとして魅力がないからでは。」
「素人は感じた結果が全てだから、デザインの理屈なんて不要。」

こんな感じ。

そのデザインが生まれた背景とか、理由とか、プロセスとか。
そんなものともかくとしてデザインとして良いかって、大事なことですよね。

これすごく当たり前な話。
なのですが、仕事でデザインをしていると驚くことに忘れがちなことなんです。

これが大きな落とし穴。

仕事でデザインをし続けていると、デザイン自体のスキルはもちろんつく。
そしてそれと同時に自分のデザインに対して、理屈とか理由をつけるのがどんどん上手になっていくんです。

それはなぜか。
仕事で行うデザインというのは、そうデザインした理由を強く求められるからです。

「ほら、あなたも良いと思うでしょ。」

仕事でのデザインって、これでは通用しないことが多い。
もし相手が提示したデザインを気に入ってくれたとしても、同じ。
それどころか、デザインを発注した側も自分が良いと思うかはさておき、まずデザインの理由を聞いてきたりする。

感覚というのは人によって違うもの。
だから、それぞれの好き嫌いで議論をすると水掛け論になっちゃうのです。
仕事のデザインは、個人の趣味ではないから理由が必要なのは分かります。

ただ、一方で理屈だけでデザインを決めてしまう。
そうすると、実はそこにいる誰もがそのデザインのことを個人的には良いと思っていないといったことが起こる。
笑い話のようで、現実問題としてよく起こるのです。

そのデザインに触れる人からすれば、受ける印象や好みが全て。
そんな当たり前のことを忘れないようにしたいです。

そして、より多くの人に好きになってもらうために、理由や理屈というのは存在する。
その順番を間違わないようにしないようしないとな。

ただただ、みんなに好かれるものをデザインしたい。
そして、その理由を聞かれたときに、きちんと答えられたら最高だ。

ウチヤマ ケンイチ
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