デザインの著作権。

ニッカオフィスのウチヤマケンイチです。

僕は使いやすいもの、分かりやすいものが好きです。
道具にしてもサービスにしても、使いにくいものや分かりにくいものはたとえ「本当は良いモノ」でも段々と使わなくなってしまうことが多いです。
自分がデザインをする時も、ウェブサイトのような「使う行為」が発生する場合は使いやすさや分かりやすさをとても重視します。

ただ使いやすいデザインというのは絶対的なものではありません。
それを使う人たちの「慣れ」だったり、その時代の「常識」いうものが大きく影響します。
だから、今まで誰も見たことがないような奇抜なデザインや特殊な操作方法というのは採用しにくいわけです。
たとえそれが本当は使いやすいものであっても。

「小さなボタンよりも大きなボタンの方が押しやすい」のような普遍的な使いやすさもあります。
それとは違って「リンクする文字は青で下線がついている」と言ったような慣れや時代に影響を受けるルールもあります。

当然、使いやすさを追求すると、普遍的なものと同時に慣れも考慮することになります。
でもそれは、ともすると、既にある有名なデザインと「同じくする」ということ。
有名なデザイン、つまり多くの人が慣れているデザインと「同じくする」ということです。

「同じく」するというのは悪い言い方をすれば「パクる」ということかも知れません。

今日、スマートフォンでYahoo!ニュースを見ていたら、ページの一番上にあるメニュー選択の部分が色も形もFacebookとほとんど同じでした。
どっちが先かは分かりませんが、さすがに色も配置も一緒だったので違和感を覚えました。
ただ程度の差はあれど「使いやすい=良いデザイン」をつくるには既にあるデザインと同じくする=パクるというのが必要なんですよね。

これは個人的な意見ですが、僕は「表現としてのデザイン」に著作権はあっても、「使うデザイン=インターフェース」には著作権を見出すのは難しいと思っています。

例えばコーヒーカップ。
コーヒーカップには持ちやすいように「取っ手」がついていますが、この取っ手はインターフェース。
だからカップに取っ手をつけても、誰からも「デザインをパクってる」って怒られない。
でも使いやすさや以外、例えばプリントされたマークだったり、素材感だったり、造形だったり。
そういった「表現」や「印象」の部分は機能じゃないから模倣は良くない。

結局、インターフェースみたいなものは、皆で共有した方が幸せで持ちつ持たれつの協力関係にあるのです。
決してそれぞれがNo.1を目指す競争関係にはないんじゃないでしょうか。

後はそのデザインが発明されてからどれくらいの期間が経っているのかも大事なのかも。
初めてカップに取っ手をつけた人はもう誰だか分からないけれど、ウェブサイトのインターフェースは生まれたての発明。
皆の共有財産というよりも、誰かの所有物という意識が強いのかもしれません。

今日Yahoo!ニュースのメニューのデザインを見た時に、ふとそんなことを思ったので書いてみました。
まだ全然まとまってないですが、モノづくりと著作権は切っても切れないものなのでちゃんと自分なりの意見をまとめておこうと思います。
ちなみにとても難しいことですが僕はコーヒーカップの「取っ手」みたいな皆で共有できるデザインを生み出したいです。頑張ろう。

そう言えば明日は朝早くから講師業でした。
なので今夜は飲み過ぎないように注意して早く寝るようにしないとだ。
フレッシュな若者たちの前で「酒臭い講師」になる訳にはいかないよ。

ウチヤマケンイチ
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