想いを込めてデザインを選ぶ。

ニッカオフィスのウチヤマケンイチです。

今日、新入社員の頃にお世話になった先輩からデザインの相談をいただきました。
既にいくつかのデザインパターンを用意していて、どれに決めて良いかわからないとのこと。
感覚的ではなく、ロジックに基づいて理論的にデザインを決めたいという相談でした。

以前、デザインを評価する難しさについて書いたことがあります。
デザインを客観的に評価するのは本当に難しいのです。

ニッカオフィスでもどんなデザインにして良いか悩まれるお客さんが多いのですが、最後はどのデザインにしたいかの好みを伺っています。
見やすさ、分かりやすさ、ブランドカラーなどはきちんとクリアしているレベルであれば、最後は好みで決めた方が良いと思っているからです。

デザインはある種の”性格”のようなものが含まれています。
楽しそうとか、優しそうとか、頭が良さそうとか、誠実そうとか。
そんな性格を表す部分はロジックではなく好みや想いの出番だと思っています。
最後まで客観的なロジックでデザインを詰めていく人もいますが、僕は理論と感覚は共存できると思っています。
むしろ本当にいいデザインにするためには共存しなければならない。

デザインの依頼主はいわばそのデザインの親。
実際はどうなるかわからないけれど、どんな子に育って欲しいのか想いは持っていてほしいのです。

“その人に似合っているか”と”その人の想いが込められているか”。
僕がデザインするときに大事にしていることです。
“その人に似合っているか”は客観的な評価、”その人の想いが込められているか”はその人自身の評価です。
想いを込めるというのはただなんとなくの好みではなくて”意思を持って選ぶ”こと。

服でもインテリアでもいいのですが、その人の想いが何も込められてないとなぜだか素敵に見えません。
たとえ高級な家具店でプロのコーディネーターがすべて完璧に選んでも、なぜだかしっくりこない。
物質的には”かっこいい部屋”であるかもしれないけれど、そこに持ち主は紐付いていなくて素敵な人には見えない。
生き方にこだわりがあって筋が通ってる人は、洋服なんかに無頓着でも魅力的な人に見えますしね。

デザインの場で良く飛び交う言葉があります。
“おしゃれ”とか、”かっこいい”とか、”センスがいい”とか、そんな言葉たちです。
こういった言葉はデザインをする側の立場ではあまり使わないようにしています。
誰か人のためにデザインをする時、僕はロジックを積み上げるのが役割だからです。
だからお客様のデザインに対して、そんな客観的だか主観的だか分からない曖昧な言葉は使いません。

ただお客様には感性たっぷりに”好きな”デザインを選んで欲しい。
意思を込めて最後の最後は”好み”でデザインを選ぶというのは僕はありだと思っていますよ。
ただロジックの積み上げだけで生まれたデザインというのは表情や性格を感じないもんね。

今日もデザインするのがたのしいな。

ウチヤマケンイチ
---
いつも読んで頂きまして、ありがとうございます。
ご意見、ご感想をコチラからいただけるとうれしいです。