たいていのデザイン案はボツになる。

ニッカオフィスのウチヤマケンイチです。

たいていのデザイン案はボツになる。
「このデザインは良い」となる瞬間なんてなかなかなくて、たいていは「なんかよくない」の連続だったりする。

時間をかけて用意した案でも、多くの制約の中でなんとかひねり出した案でも、お構いなし。
デザインにノーを出す人も様々で、デザインをした本人はもちろん、デザインの依頼主、あとデザインに触れたユーザーが言うこともある。

で、その感覚はたいてい正しい。
デザインってたぶん料理に似てる。どんなに理屈を並べようが、結局はおいしいものはおいしくて、まずいのはまずい。
たとえ「健康にいいですよ」と言ってみても、おいしくないと感じてしまう気持ちは変えられず、食べたいという気持ちも生まれにくい。

よく会議のセオリーで「反論するなら代案もセットで」みたいなのがあります。
あれは確かにそうだよなと思いつつも、でもデザインの場合は1人の人間が「この案はよくない」と感じる事実は、それだけで価値があると思うのです。
デザイナーからすれば、たしかに代案のないノーはしんどいんですけどね。

世の中のたいていのデザインって、極端に言えばなくても死にはしないんですよね。
だからいいものじゃなければわざわざ生み出す意味もない気もする。

それでも世の中にデザインが必要とされることがうれしい。
そして、だからこそいいデザインが生まれた瞬間の価値はすごいのだ。

ウチヤマ ケンイチ