それでも十分やったよ、と。
ニッカオフィスのウチヤマケンイチです。
M-1グランプリを観ていると、たまに出てくる言葉があるんです。
「でも決勝の8組に残っただけでもすごいですよ」
あまり点数が伸びなかった漫才師に対する、司会者のフォローの言葉です。
この言葉を聞いたとき、なんだか不思議な感じがしました。
その理由は、たぶん本当ならその場でいうべき言葉ではないじゃないかと思ったから。
僕はそう教わって来たんです。
一番の目標がダメだったとき、そのときになって「それでも十分やったよ」というのはNGだと。
それが部活だったのか、予備校だったのか、はたまた漫画だったのか、それは覚えてないのですが。
だからこの言葉って、運営側の立場としてはやっぱり言うべきじゃないと思うのです。
でも聞いていて温かかったし、むしろ共感した。
1人の視聴者として純粋な感想なら、それは良いと思うんです。
きっとその司会者はその瞬間、司会者としてではなく一人の先輩として言った言葉なんだろうなと。
あと僕自身、歳をとったことで正解は一つじゃないという風に考えるようになったことも大きいかもません。
そもそも人が判定するという、正解がありそうでなさそうな曖昧な勝負。
そこでチャンピオンになれたかはさておき、数千組の中から8組に残っただけでもやっぱりすごい。
あのフォローは、誰のためものだろう。よいことなのか。
よくわからないけれど、厳しさと優しさは両立するのです。
ウチヤマ ケンイチ