奏者と指揮者。

ニッカオフィスのウチヤマケンイチです。

最近見たNHKのプロフェッショナル。

その日のプロフェッショナルはバイオリニストの五嶋みどりさんでした。
世界的なバイオリニスト奏者です。

いやー、かっこよかった。
プロフェッショナルには毎回いろんな人が登場しますが、今回は特に心惹かれる回でした。

バイオリニストの奏者は、いわゆる「プレイヤー」です。
自ら楽器を手にとって、自ら音を奏でる。
他にも野球で言えばそれぞれの選手もプレイヤーだし、将棋で言うところの棋士、あと芸人なんかもそう。

プレイヤーはみな、自分自身のスキルや芸を発揮することで直接的に価値を生む仕事。
僕はジャンルによらず、そんな一流のプレイヤーに憧れているんです。

そんなプレイヤーと対になっているのが、いわゆる「束ね役」のポジションです。
例えば、演奏の世界では指揮者。野球で言えば監督。
束ね役は自らがなにかをするよりは、プレイヤーの力を引き出すのが仕事です。
五嶋さんの放送でも、何人かの指揮者が登場していました。

指揮者は演奏中、自ら楽器を持つことはありません。
その代わりに奏者を束ねることで、一つの演奏をつくりだします。
昔から僕はプレイヤーに憧れていたのに、気づけば今している仕事はこの指揮者に近いなと。
決してバイオリニストの方ではないんですよね。

僕のチームにはいつも専門のデザイナーがいて、一緒に相談をしながらデザインを完成させます。
そして実際に線を引いたり、色を入れるのはそのデザイナーが行なうことが多いのです。

また画面の動き方や表示する内容を考えはします。
けれど、実際にそれが動くようにプログラミングするのはエンジニアさんです。

演奏で言えば、指揮者。野球で言えば、監督。
僕の仕事はそんなポジションです。

昔の僕は何をするにも自らペンを握りたかった。
誰かに任せるというポジションが嫌いでした。いや、嫌いというか苦手だったのかもしれません。
でも、気づけばその立場が仕事のメインになっていたし、今はとても楽しい。

プレイヤーと束ね役。
どっちのポジションが偉いとか、良いとかではない。それぞれに役割があります。
そして、今の僕はそんな束ね役がとても楽しいのです。

ちなみに一流の指揮者であっても、全ての楽器を弾けるわけではないそうです。
しかし、全ての楽器の原理原則や特徴は知っていて、だからこそ束ねることができる。
この楽器は大きな音は出ないとか、出すことのできる音色の傾向だとか。

どんな世界でも人を束ねることが上手な人は、そんな原理原則をきちんと押さえているんだと思います。

では、僕の今の仕事ぶりはどうだろう。
誰かにお願いをしている仕事の原理原則をきちんと知っているかなと。
改めて考えると、まだまだ足りないなぁと。

プレイヤーとして一流であるかは必ずしも問われません。
野球の監督は皆が元四番バッターやエースのピッチャーだったわけじゃない。
だからといってなんでもかんでもおまかせして、手を抜くのはまずい。

良い指揮が取れるように、広くそしてできる限り深く。
自分がプレイヤーとしてできないことも、原理原則はしっかりと押さえないといけないなと思ったのでした。

ひさしぶりに、自分でペンをとってみようか。
あとプログラムも書いてみないとね。

ウチヤマケンイチ
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